工業用配管・設備のイメージ

チタン電解研磨

チタン電解研磨とは、チタン材に特化した電解研磨です。ステンレスの電解研磨とは電解液の組成や処理条件が異なり、チタン特有の表面特性に合わせた専用工法として体系化されています。

チタンは軽量・高強度・高耐食性を備えた優れた金属ですが、加工が難しく、研磨においても対応できる企業が少ない素材です。三和産業ではチタンの鏡面研磨に対応しており、外観品質の向上や機能面での表面改善に取り組んでいます。

三和産業のチタン電解研磨(特許技術の特長)

三和産業のチタン研磨は、産学連携で開発した独自技術です。従来のチタン電解研磨では「粘性膜による通電遮断」が課題でしたが、この技術はその問題を根本的に解決しています。

  • 2004年に特許出願(「チタン又はチタン合金の電解研磨方法」)
  • 山口大学工学部・九州歯科大学・山口県産業技術センターとの産学連携(3機関)で研究・実用化
  • Ti 1種・Ti 2種・Ti JIS60種などの鏡面化に対応

活用用途・採用分野

三和産業のチタン電解研磨の活用用途:手術器具

チタン電解研磨は、チタンの軽量性・高強度・高耐食性といった特性を活かした以下の分野で採用されています。

分野 主な用途 電解研磨の目的
医療機器 インプラント、手術器具、歯科材料 生体適合性・組織保護・清浄性向上
航空・宇宙開発 構造部品、タービンブレード 軽量化・耐食性向上・低コスト化
センサー類 化学センサー、医薬品製造装置部品 耐食性・医薬品製造装置基準対応
電子・光学機器 X線管、イオン銀、電子ビーム装置 真空特性・放出効率の改善
装飾品・意匠品 アクセサリー、デザイン部品 外観品質の向上・鏡面仕上げ

特に医療分野では、生体適合性溶出試験(JIS T0304)により、電解研磨を施したチタンは未処理品と比べて金属溶出量が減少することが確認されており、インプラント等への採用根拠となっています。

チタン研磨に関する研究発表

自社発表

2004年(平成16)3月 表面技術協会第109回講演大会
題目:「電解研磨によるチタン鏡面研磨」
2005年(平成17)3月 表面技術協会第111回講演大会
題目:「チタン及びチタン合金への鏡面電解研磨の実用化」

共同研究機関による発表

2005年(平成17)3月 表面技術協会第111回講演大会
題目:「環境に配慮したチタン電解研磨浴の開発」
発表機関:山口県産業技術センター
2005年(平成17)3月 腐食防食協会中国・四国支部「材料と環境研究発表会」
題目:「塩化物塩を溶解したアルコール系電解液中でのチタンの電解研磨」
発表機関:山口大学工学部
2005年(平成17)4月 電気化学会第72回大会
題目:「アルコール系電解液中でのチタンのアノード分極挙動に及ぼす塩化物塩の影響」
発表機関:山口大学工学部

出願特許および認定

出願特許

2002年(平成14) 「チタン又はチタン合金の電解研磨方法及びそれに用いる電解研磨処理液の振動攪拌装置」について特許出願
2004年(平成6) 「チタン又はチタン合金の電解研磨方法とその装置」について特許出願、2008年特許取得

認定

  • 認定研究テーマ:「複雑形状を有する医療用チタン及びチタン合金材料への鏡面電解研磨法」の研究開発、事業化および需要開拓
  • 認定機関:山口県
  • 認定年月日:2004年(平成16)2月20日

チタンを鏡面にできるのか

チタンの鏡面化は可能です。ただし、ステンレスの鏡面研磨とは難易度が大きく異なります。

チタンの鏡面化が難しい理由

チタンは活性な金属であり、加工中に酸化被膜が形成されやすいという特性を持っています。材質グレード(純チタン、チタン合金)や熱処理の履歴によって表面の反応性が変わり、硬度や結晶構造もステンレスと異なるため、研磨の挙動が読みにくい素材です。

こうした要因から、チタンの鏡面品質は材質グレード・形状・前処理状態に大きく依存します。対応可否は個別に判断する必要があり、まずは現物情報をもとにした相談をお勧めします。

ステンレスと電解研磨との違い

ステンレスの電解研磨は処理条件が確立されており、安定した仕上がりが得やすい工法です。一方、チタンは材料ロットごとの特性差が大きく、同じ処理条件でも仕上がりにばらつきが出やすい傾向があります。

そのため、チタンの鏡面化では試作段階での確認が特に重要です。量産前に小ロットで仕上がりを確認し、品質基準を合意した上で本生産に進める進め方が安全です。

対応条件

材質グレード

純チタン(TP270、TP340など)を中心に対応しています。チタン合金(Ti-6Al-4Vなど)は合金成分によって処理条件が変わるため、個別に確認が必要です。

材質のグレードや加工履歴が分かる資料があると、対応可否の判断がスムーズになります。以下は、実際にお問い合わせをいただいているグレードの例です。

グレード 分類 問い合わせ例
TTP340WC 純チタン(溶接管) チタン管 ODφ6.35の内面電解研磨
Ti-6Al-4V チタン合金(α+β型) 強度試験片(丸棒 φ10×L90mm)の電解研磨※リピート実績あり
Ti15333 チタン合金(β型) 箔(20〜30μm厚)の表面平滑化・端面バリ取り

対応形状

処理槽のサイズに収まるかどうかが、対応可否の基本的な判断基準。大型品で処理槽に入らない場合は、分割処理や現地対応(出張研磨(全国・海外))の可否を含めて検討します。

形状については、複雑な凹凸やエッジが多い製品では仕上がりにばらつきが出る可能性があります。平面や単純な曲面ほど安定した仕上がりが得やすい傾向です。実際にお問い合わせをいただいている形状の例としては以下となります。

  • パイプ・配管:チタン管 ODφ6.35、チタンパイプ φ10×L1000mm
  • 丸棒:強度試験片(φ10×L90mm程度)
  • 箔・薄膜:Ti15333箔(20〜30μm厚)の表面平滑化・端面バリ取り

前処理(バフ研磨)との組み合わせ

三和産業ではバフ研磨もチタンに対応しています。電解研磨の前処理としてバフ研磨を組み合わせることで、深いキズや加工痕を除去した上で電解研磨による鏡面化・耐食性向上を行うことが可能です。

注意点

仕上がりのばらつき

チタンはステンレスと比べて、材料ロットや加工履歴による仕上がりのばらつきが大きくなりがちです。試作や小ロットでの確認を経てから量産に進める進め方を推奨します。

目標品質の整理が重要

「鏡面にしたい」だけでは、何をもって合格とするかの基準が曖昧になります。以下の観点で目標を言語化しておくと、提案の精度が上がります。

  • 外観の光沢レベル(見た目の主観基準か、Ra値での指定か)
  • 機能面の要求(清浄性、耐食性、反射率など)
  • 許容できない欠点(微小キズ、ムラ、色味差など)

表面粗さの設定については表面粗さ(Ra)・仕上げ品質も参考にしてください。

検査・品質管理体制

チタン電解研磨の品質評価には、以下の自社保有測定機器および外部機関を活用しています。

自社保有測定機器

  • 表面粗さ測定器(Ra・Ryの定量評価)
  • 蛍光X線測定器(元素分析)
  • カラーレーザー顕微鏡(表面微細構造の観察)
  • ビデオスコープ(内面・細穴の目視検査)

外部機関利用実績

  • 山口県産業技術センター:SEM、AES(オージェ電子分光)、GDS、ICP発光分光分析
  • 西部工業技術センター・岡山県工業技術センター:ESCA(X線光電子分光)

医療分野では生体適合性溶出試験(JIS T0304)、航空宇宙分野では耐食性評価など、用途に応じた検査項目の選定も含めてご提案可能です。

チタンの鏡面研磨、まずはご相談ください。

特許技術によるチタン電解研磨の対応条件をご案内します。
グレード・サイズ・形状をお知らせいただければ、対応可否を判断いたします。
他社で断られた案件もお気軽にどうぞ。